平成20年9月19日午前7時55分、名古屋港水族館のシャチのクーちゃん亡くなりました。

クーはちゃんは、体長6.1メートル、体重2.7トンのメスのシャチ(推定18歳)。19日午前7時55分、医療用プールで飼育員らに見守られながら亡くなったという。水族館によると、クーちゃんは、7月下旬ごろ、夏風邪をひいたため、医療用プールに移されました。通常50~60キロ食べるエサを口にしなくなり、動きが緩慢な状態が続き、検査では、血液中の白血球が増えるなど、体内での炎症も確認されていたそうです。獣医師や飼育員は十数人態勢で、抗生物質の投与や流動食を与えるなど懸命の治療を続け、9月上旬には回復の兆しが見られましたが、再び体調を崩したそうです。最近は飼育員らが24時間看病に当たっており、多くの子どもたちもお見舞いに駆けつけていましたが、懸命の治療にもおよばず他界しました。
大水槽を優雅に泳ぐ元気な頃のクーちゃん

クーちゃんが名古屋港水族館に到着したのは2003年10月29日。和歌山県太地町立くじらの博物館から、人工繁殖の共同研究の為に、5年間の期限付きで借り受けたものでした。
大水槽を優雅に泳ぐ元気な頃のクーちゃん

そもそも野生のシャチはワシントン条約で捕獲や輸出入が規制されており、学術研究目的でのみ捕獲が認められています。太地町は元々「くじら漁」で栄えた「くじらの町」。何かと絶滅危惧を前に捕鯨については様々な場面で議論がなされていますが、「増え続けるクジラ、減る魚」という現象も無視はできまい。1997年、和歌山県太地町でシャチ(オルカ)の群れ10頭が湾に追い込まれ、そのうち5頭が捕獲され、数頭が各地の水族館へ売られていきました。クーちゃんは、この時捕獲された5頭のうちの1頭でした。当然、その当初からかなりの抗議や要望がだされていましたが、太地町ではその後も 「我々はシャチを家族で飼いたい、捕獲して研究したい、そういう思いを持つことがなぜ悪いんだろうか。どういう誹謗、中傷、非難があろうとも、私はそれを必ずやり遂げたいと願っております」。というコメントをしています。
みんなに愛されていたシャチのクーちゃん

1997年に太地町で捕獲された5頭のうち、紀伊白浜のアドベンチャーワールドへ搬入されたシャチ3頭は相次いで亡くなっており、4頭目である伊豆三津シーパラダイスのメスシャチのアスカもは、2007年9月19日午前7時5分に他界しています。そのアスカの一周忌である2008年9月19日、クーちゃんは共に大海原へ帰るかのように息を引き取りました。
母親がわりのイルカのVと泳ぐクーチャン

クーちゃんと共にくじらの博物館より名古屋港水族館へやってきた、母親役のイルカのVも、2007年2月6日に死亡しており、クーちゃんはみんなから愛されながらも、どこか孤独だったのでしょうか。それはそうですよね・・・・・、「繁殖の研究」とはいいつつ大水槽に同じ種が一種だけだなんて・・・・・、くら人々に愛されたって、やはり孤独だったのではないでしょうか?
トレーニング中のクーちゃん

でもやはりクーちゃんは、みんなから愛され親しまれてきました。ぷぷちゃんも何度かクーちゃんのトレーニングを実際に見たことがありますが、最初はただ、体温を測ってもらったりだけだったクーちゃんが、次第にヒトや他のクジラ仲間(イルカ)たちと遊ぶようになり、イルカがジャンプしているのをまねて自分もジャンプするようになったり、楽しく運動したり・・・・。もっとも、イルカたちと違ってクーちゃんはかなり神経質で気まぐれなので、機嫌が悪い時は何もしなかったり・・・・・、もっと機嫌が悪いと、他のイルカたちにまで拒否されたりもしていましたが、機嫌がいいときは豪快なジャンプも披露してくれ、シャシの持つ素晴らしさを私たちに教えてくれました。
豪快にジャンプするシャチのクーちゃん

お首をフリフリえさを貰うクーちゃん

|動画|クーちゃんのトレーニング日誌 画像をクリックしてね

「アスカ」に続き「クー」が亡くなり、これで国内でシャチを飼育しているのは、くじらの博物館をのぞくと、千葉県の鴨川シーワールドだけになりました。ぷぷちゃんは、くじらやシャチの捕獲や人工環境下での飼育や繁殖がむやみにいけないとは思いません。千葉の鴨川(およびその近辺)も、元々くじら漁との結びつきの強い地域で、シーワールドでも開館当初よりシャチを飼育。そして、1997年には、雄の「ビンゴ」と、雌の「ステラ」との間に繁殖が確認され、1998年に第一子ラビー誕生(日本動物園水族館協会繁殖賞受賞)。その後も2001年にララ、2003年にサラ、2006年にランの計4頭(全て雌、2006年にサラは死亡)の出産に成功し、ファミリーでショーを行っています。
|動画|シャチのびっくり perfoemance

生き物たちの「死」を通して、命の大切さを再認識していきたいです。ヒトも、生き物たちも、そして「地球」も・・・・・・。